再生不良性貧血

血液細胞(白血球、赤血球、血小板)は、骨の中にある骨髄でつくられます。通常、血液細胞の数は一定になるよう調節されていますが、再生不良性貧血では白血球、赤血球、血小板のいずれも減少(汎血球減少)し、骨髄の低形成を特徴とし、国の定める難病(特定疾患)に指定されています。症状には、感染症による発熱や、貧血によるめまい、だるさ、動機、息切れ、血小板減少による出血傾向などがありますが、無症状で検診をきっかけに見つかることもあります。分類としては先天性(生まれつきの遺伝子異常)と後天性(特発性または二次性)、特殊型再生不良性貧血に大きく大別されますが、ほとんどが特発性です。原因としては、先天性の場合は遺伝子異常、後天性の場合は免疫を担当する細胞が自分の造血幹細胞を攻撃する自己免疫学的な機序または造血幹細胞の異常と考えられています。検査では、通常の血液検査のほかに、骨髄液穿刺や骨髄生検を行い、細胞の形や密度、染色体異常の有無などを調べ、他の病気ではないことを確認します。治療方針は、重症度や年齢によって異なります。軽症〜中等症の場合、経過観察または免疫抑制療法を中心とした治療、重症の場合は免疫抑制療法または造血幹細胞移植を行います。免疫抑制療法とは、造血幹細胞を攻撃しているT細胞の働きを弱めるシクロスポリン内服単独の場合と、T細胞を破壊するATG(抗胸腺細胞グロブリン)を併用する治療があります。どの治療を選択するかは、治療法それぞれの長所・短所をふまえ、患者さんの年齢や希望、状態に応じて決定します。

最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科