造血器腫瘍におけるp53シグナル制御と分子標的治療

小島研介(准教授)は、佐賀大学とMD Anderson Cancer Centerの2ヶ所に研究グループを擁しており、これらを核として、国内外の施設とも協力し、造血器腫瘍に対する新規の分子標的治療の開発を目指した研究をおこなっております。研究の目的はきわめて単純で、現在の医学レベルでは治癒が容易でない白血病やリンパ腫などを、治癒せしめうる新しい治療薬を開発することです。研究内容については、簡単に述べるにとどめますが、主に造血器腫瘍で機能的に破綻しているp53経路を、回復させることを目指しています。詳しくは、研究論文実績をご参照くださればと思います。最近の論文リストはスタッフ紹介欄にございます。2013年12月の米国血液学会(ASH)では、口演のセッションで座長を務めるともに、スタッフ、共同研究者とともに6編(口演3、ポスター3)の発表に携わりました。

将来、臨床医科学者(Physician Scientist)を目指す若い医師、医学生への希望を書きます。

臨床教室がおこなう研究は、実地臨床に結びつくものが望ましいと考えています。研究の達成のためには、日本の小さな組織で主導権を争っているようではだめで、海外の研究者とも積極的に交流し、国内外の多くの施設と協力できることが必須です。医学の共通言語は英語ですから、ある程度の英会話力も、コミュニケーション・ツールとして必要です。ビジョンをもった、器の大きい臨床医科学者が、日本の次世代を背負い、そして新しいマイルストーンを打ち立ててゆくことを期待しております。そのために協力することを、私どもは厭いません。「四畳半の部屋で一番を争うような、渺々たる人間を目指さず、大海原に飛び出してください。」 私が医師となって5年目に、恩師のおひとりからいただいた言葉です。

「患者に学ぶ」ということは、互いに人格をもった人間同士の触れ合いを、医師としての人格形成に資するのみならず、医師が研鑽を積みつつ、具体的な形を残して医学の進歩に貢献することだと考えます。このことから、後者を実践しているエビデンスとしての症例報告は非常に重要と考えております。「医師に症例報告がないのは、診療経験がないか、診療能力がないかのいずれかです。」 医師となって3年目、別の恩師の先生からいただいた言葉です。若いときに非常に有り難い言葉をいただいたと感謝しつつ、心に刻みつけて日々の診療にあたっております。

造血器腫瘍のトランスレーション研究を目指す若い方々の、血液学研究への参加を期待しています。

最後に、民間企業、個人の方などで、私どもの医学研究の進展のために、ご浄財をご寄付いただけます方がございましたら、幸甚です。大学においては奨学寄付金の制度があり、特定の講座や研究者を指定することも可能です。

 

最終更新日:2014年10月1日

(C)佐賀大学医学部附属病院血液・呼吸器・腫瘍内科